17.11.09

13/11/09 雪解け

今日は金曜日。昨日、即ち口論の翌日ギクシャクしたこの関係をどうしたものかと考えた。落ち度が自分にもあったのは事実・・。しかしここで全て自分が悪かったなんて言ったら、逆戻りするに決まっている。

そうこうあれこれ考えながら、課題のために理科実験室の準備をした。今回の単元はEarth。地球の内部、岩石を取り扱う。国指定のシラバスに沿いながら工夫している。せっかく自分は地学を4年勉強したんだから。実験室にはいつからか分からないが立派な岩石標本がある。近くの火山島の黒曜石があるのはいいとして、日本産のザクロ石、雲母などの立派な結晶。いつか寄付されたのかもしれない蛍光を出す鉱物標本。鉱石はこの国のものだろう。しかし・・基本的に小さい。みんなに見せるにはどうしたものかと考えた結果、宿題にした。彼らにスケッチさせる。そのかわり、毎日私が生徒を受け入れなければならない。課題を与えるときは通常図書室を開放するのだが、今回はどちらもということで少し大変なのだ。

準備をしていると反対側で声が・・Mr.Pが授業をしている。意識してもしょうがないので準備を続けた。なんでこんなに動揺しなければならないのか。クソ日本人なんて言われてんのかな~とか想像してしまう。理科主任が私の主張を彼に伝えてくれたらしい。主任に「私から何かした方がいいですか?」と聞いたが、「いいよ、そのうち彼から謝りにくる」ということだった。しかし今のところそれは無かった。

ともあれ授業は終わって生徒が出てきた。隠れているのも気持ちが悪いので、彼のいる部屋へ標本を取りにいった。第一声・・・かなり出遅れての

「Good Morning, Mr. P」が、私から出た。

「Good Morning, Mr. 」が微妙な笑顔から出てきた。

ぎこちなさに気持ち悪くなった。昨日のことで、言わなければいけないことがある・・とMr.Pに近寄って話した。

きちんとあなたのことが理解できなくてごめんなさい。しかし、僕らの仕事にはあなたの助けが必要だ、僕らは一つのチームだから・・。

素直に自分の非は認めた。そして手を差し出した。握手した。

「こちらこそ怒鳴ってしまって申し訳ない。」

彼も謝ってくれた。和解成立。彼が今後遅刻をしない、約束を果たす・・それは分からない。でも、このまま不愉快な気持ちで仕事を続けるのは辛かった。しかし実際に偉そうに言えることは無いのかもしれない。

施すことに必死になっているが、やはり学ぶ姿勢・・教育実習に行くような気持ちもどこかに無いといけないはずだ、と再認識した。

 

今日は二人の生徒から色々考えさせられた。

一人は、とても日本に興味を持っている生徒。授業では教えてないが、頻繁に教えた日本語で挨拶してくれる。その彼と話していると、何歳?という質問が出てきた。「あててごらん。」と言うと、23歳と一発的中。驚いた。多くは二十代後半と言われるからだ。にやにやして「ということは1986年生まれだね」。ごもっとも、計算も速い。すごいな~と思って「何歳なの?」と聞き返せば「23。」なんとここで同い年であることが判明。それですぐ生まれ年も分かったのね。と合点。彼は来年で高3になる。若く見えるけど、制服のせいかな~。

もう一人は帰り道にあった。「こんにちは、S(私の名前)」と声をかけられた。実際すれ違えばほとんど挨拶する。そんな中だったから特に気にせず「こんにちは!」と元気に返していたら。もの言いたげな顔をしている・・どうしたんだろうと近づいて「元気?」と聞いてみる。「俺の名前覚えてる?」と聞き返された。うむ~、覚えていない、それどころか何処で出会ったかも、生徒なのかサッカー仲間なのか、市場でおしゃべりした人なのかさえ分からない。「ごめん」と謝った。彼は教えたことはないが、生徒だった。正直何人も同じ顔に見える人に会う、親戚なのか、私に観察能力が足りないのか・・。まだ自分の持っているクラスの生徒も全員覚えられていない。そんな重箱の隅を突くようなことは止めてくれよ・・。そう思いながら、彼に謝った。生意気な態度で不機嫌そうに、私のサッカーのことを批判したので、そこは引かなかった。今度は点取れよ、なんて適当な注文をするので、サッカーは学んでる。ベストは尽すけど、何かを約束はできないときっぱり言った。しかしなあ、名前を覚えていない、そういう失態で困ることが多い。メモを取り出し彼の目の前で名前を書いた。次また出会って彼を特定できる自信が持てなかった・・。悔しいことに。その帰り道、さらに二人に名指しで挨拶された。一人は小さな少年。立ち止まって「ありがとう、君の名前は?」とすぐ聞いた。いつもなら挨拶をただ笑顔で返して立ち去っていた。もう一人はおばさん「元気?」と聞いてくれたので、「元気じゃないんだ・・・」と言うと「病気?学校忙しいの?」と聞いてくれる。「せっかくSって呼んでくれて挨拶してくれるのに、僕はあなたの名前を知らないんだ・・・ごめんね・・」と言って名前を聞いた。少年もおばさんもいつも私の名前を呼んで挨拶してくれる人。大事にしようと思った。

サッカーに行ったら、練習後全員の名前をメモに取った。

頑張ろう。これは別に海外だから大事なわけではない。何処に行っても。親友に会って名前を忘れられていたらやはり傷つくだろう。特に、教師をするなら、自分にとっては大勢の中の一人の生徒かもしれないが、生徒にとってはたった一人の担任、たった一人の理科教師なのだ。言い訳したくない。大勢と思っている時点で、自分はひとりひとりのことを見れていないということが明らかになっている。授業しながら「アイツはここでつまずく、コイツは退屈そうにしている・・・・」そういう見方を人数分出来なければいけない。理想的には。自分にできるだろうか・・・。

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