10.11.09

30/10/09 同僚

土曜日。この一週間もゴタゴタした。現在、grade9の2クラスに理科を教えている。5クラスあり、3人の教師で持っている。理科主任が焦った様子で、これから生徒に与える課題の問題文をチェックをするように私に言った。課題を与え、テストを課す。その点数で生徒を評価するのだ。そして1年間でこなすべきテスト・課題の回数が決まっている。それがgrade9は足りないということで理科主任が慌てているのだ。

水曜日に渡された課題は3人のうちの一人、Mr.Nが作ったものだった。彼は大学を出ていない、かつ高校で教えはじめて半年程度というのもあり、学術的知識の面・経験の面で少し不安がある。本人も自覚し、私に授業前に良く質問をする。理科教員は5人いるが、理科教員室には基本的には彼と私しかいない。他の教員は教室で授業かスタッフルームで仕事しながらおしゃべり、もしくは家に帰ってしまう。5人のうちMr.Nと私以外、基本的に教員は学校の敷地に住んでいるため、すぐに家に帰れるのである。

そのためMr.Nとは色々話した。彼は比較的生徒のことを気にかけて、情熱を滾らせて仕事をしているように見えたので、何か教えることも全く苦にならなかった。彼は年下の私にも謙虚に学んだ。

そんな中で彼の課題を受け取った。それは・・・ひどかった。色々問題はあった。問題文自体に間違いがあるものもあれば、評価の仕方が気になるものもあった。修正するには色々また話さなければと思った。根本は、彼の作った問題に彼自身が答えや評価の基準を用意していないことだった。自分がテストを作ったときに、誰も私の用意した回答例・評価基準に目もくれずに大絶賛した。その結果がクラス間の激しい点数の差にあらわれたのである。いつものことらしい。個人個人にチェックを任せたところで、何も見ずにOKを出すのだ。これはならん!と皆に説いた。被害を被るのは生徒だ。理科主任は理解してくれたので待ってくれた。Mr.Nに答えと基準を用意するように頼み、翌日grade9担当教師3人で語り合うことになった。

Mr.Nは授業が終わりランチタイムになってから、いつも通り学校から出て行った。そして帰ってこなかった。大丈夫だろうか・・。もう一人の担当教師Mr.Pは経験はあるがやる気は全く感じられない。集まろうと言ってもその時間は予定がある、とニヤニヤして言うような人だ。翌日の3者会議は何とか全員の都合を付けて時間を決めて確認した。

Mr.Nは3者会議の40分前時点で私が答えの準備出来た?と聞いたときにまだ準備すらしていなかった。えっ・・。分からないなら手伝うから、今すぐやりなよと指示する。しかし彼は、今から手紙を書きたいと言い出す。彼の進路に関わるものだ。来年大学に行きたいらしく、その申し込みをしたいらしい。「大事なのは分かる。でも今君は教師なんだ、そして私は、理科主任は君の仕事を待っているんです、状況を理解していますか?」とかなりきつく言った。それでもなかなか始めなかった。が何とか動き出した。一々聞いてくる。3者会議開始の時間・・Mr.Nは当然準備が出来ていない。そしてMr.Pは来ない。つきっきりで回答、基準の作り方、彼の作った問題の答えを一緒に作った。時間は過ぎ、ランチタイムになった。会議は終わるはずの時間だった。Mr.Nはおなかが減ったという。「理科主任との約束は?君らは教師なんだから責任持ちなよ、私はボランティア。助けてあげることはできるけどこれは君の仕事なんだよ。もし行くなら、理科主任にきちんと状況を話してから行きなよ。」空腹なのは私も同じだ。いらっとなっても怒鳴ることはできない。その代りできるだけシリアスな顔をして言った。Mr.Nは少し粘った。でも結局ニヤニヤして「残りは明日するから」と仕事半ばで部屋を出た。

ふう・・・疲れた。一人理科教員室で働いているのがバカらしくなったのと、空腹なのと、理科主任の反応が気になったので、部屋を出て主任の家に行った。家でくつろいでいた。「働けよ」と思ったが、それは置いといた。Mr.Nは来たらしい。主任が私の添削で真っ赤の課題を持っていた。これを後でタイプし直して明日印刷するということだった。あれ?まだ完成していないよ・・・。Mr.Nは「完成した」と言ったらしい。全くどこまで責任感がないんだ。すぐにばれる嘘をついて。仕方がないので私が仕上げた。彼には幾つか仕上げた問題を別の紙に書いて置いたのだが、それは彼が持ち去っていた。二度手間だった。理科主任も私に同情した。

その能力が無いのにその仕事を引き受けるなら、きちんと指導を受けないと。上司は出来ない仕事を部下に与えるのならきちんと教育しないと。どちらにも責任がある。その場の都合で、順番だからとか安易な理由でやりますとか、やれよとか言ってはいけない。私が前回テストを引き受けたときも全力で断った。自信が無いから。きちんとした添削してくれるのなら、という条件で引き受けた。結局痛い目にあうのは生徒。サボった分だけ生徒が損をする。不条理な現実だ。同僚に働きかけるの諦めて、対象を生徒に絞って仕事するのも手だと同居人Sさんに助言をもらった。しかし、となりのクラスの子どもら、2年後学ぶ子どもらのことを考えるとなかなか諦めはつかない。しかし、教師たちは簡単に仕事を辞められる。責任感はないし、それに教師が不足しているからいつでも戻って来れるからだ。そんな教師に何かして意味があるのか・・Mr.Nは今年で教師をやめると月曜日にいきなり言いだした。一生懸命私に指導して下さった母校の教師の皆様を思い出す。生徒のときの記憶も大きいが、教育実習での熱心な指導を忘れられない。教師になるのか分からないような実習生に厚く指導して下さった。

自分の方針は決めかねている。

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